ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す

著:山口周 プレジデント社 2020

何気にキツイことを述べられていて、ハッとさせられた。

「高原」に到達した私たちは

「安全で便利で快適な(だけの)社会」から

「真に豊かで生きるに値する社会」へと変容させていくべきである

というメッセージを投げかけられた。

バリューチェーンからバリューサイクル。

社会課題に対するソーシャルイノベーションの必要性。

好き嫌いがはっきり出る著書だと思うが一読する価値は十分にあると思う。

企業の社会貢献活動について考える1

CSR、SDGsやESG経営、ESG投資などの「S」Social

まだまだ言葉だけが先行している気がしますが

社会(生活者・消費者)や先進的投資家は

この「S」に対する企業の態度を見ています。

すでに「社会に貢献」をしている企業さん、

これから始めてみようと思っている企業さん、

社会貢献活動の考え方を一歩進めてみませんか。




ソーシャル・イノベーション・クリエイターの杉本です。

現役の事業戦略コンサルタントです。

ですので、

これからの事業戦略としての社会貢献

という企業目線でのご提案をしていきます。

 

まず、企業の社会貢献活動をざっくり大きく分類してみると


①社会貢献活動団体(NGO/NPO等)への資金援助

➁社員を通した社会貢献(ボランティア休暇・派遣など)

③事業を通じて社会貢献(環境配慮商品など)]


が、挙げられます。

それぞれが素晴らしい活動だと思います。

しかし、③以外は、本来の事業戦略の文脈とは離れ

ブランド向上、認知活動の一環であると捉えられます。

 

また、私が感じる昨今の企業の悩みは


・情報社会により企業が持っていた情報の優位性も薄れ

・新しいビジネスモデルや商品は輸入されたものばかり

・消費者のホントのニーズを聴けていない

・新しいモノ・コトをなかなか生み出せていない。


ということではないでしょうか。

その解決方法のひとつとして提言したいのが、

地域、市民(消費者)、企業がWIN・WIN・WINになる

企業の地域市民化戦略 Community-based Enterprise

です。

 

地域には、

住んでいる人=地域市民=消費者がいます。

そして、地域市民のなかに

地域の課題解決にあたる

ボランティア、市民団体、NPOがいます。

ここで、語弊を恐れずにいうと

企業と地域市民は、企業と消費者の立場 で、

消費者はターゲットとも呼ばれ

図式的には対抗関係にあるわけです。

 

当たり前の話ですが、

家から会社に行くと、企業の人。

会社から家につくと、消費者で、地域市民になります。

何が言いたいかといいますと、

企業人としての顔と地域市民としての顔、2つの顔を持っています。

もっというと2つの言語と2つのふるまいがあるのです。

ほんとは一人の同じ人なのに、実は

立場によって言葉が通じないのです。

(この具体的なことは別の機会にします)

 

一人の人がそうなのですから、

ましてや法人という人扱いであるはずの

企業はさらに言葉が通じない

のです。

 

ここまでをまとめると、

・社会貢献、地域貢献という声が大きくなってきた

・ESG投資などが始まり、企業経営に影響しはじめる

・これまでの社会貢献は事業戦略の文脈とは言い切れない

・新しいビジネスモデルや商品が生まれにくくなっている

以上を打破する戦略として

企業の地域市民化戦略 Community-based Enterprise

 

を次回以降述べていきたいと思います。

 

2つの言語を通訳する

コミュニティデザイン研究所 杉本

【追記】失敗談から学んでほしい シナリオ・プランニングの落とし穴

こんにちは、CDI杉本です。

計8回でシナリオ・プランニングの大まかな流れを説明しました。

その中でも特に『あるべき姿』の描き方が重要だと述べました。

 

今回は追記として、

シナリオ・プランニングをする上で【落とし穴】があることを、

私の3回の失敗事例からお伝えしておこうと思います。



 

それは『時間』『タイミング』です。


1回目の失敗は、以前勤めていた会社の未来研究会です。

提案内容は、「ある場所で、あるリユース素材を使った、全く新しいコンセプトの分譲地開発」です。

経営幹部を説得できなかったのは、当時はまだ注文住宅がバンバン売れていた時期だったこと、そしてバブル崩壊を経験した後で土地を一時的にも資産として持ちたくない、リスクを冒したくないという幹部の判断がありました。リスクに提案が負けたのです。

1回目の失敗の原因のひとつは、提案の『タイミング』が悪かったことです。

(わたくしのプレゼン能力にも問題があったとは思います。)


2回目の失敗は、独立2年目で2つの新規事業へのチャレンジで、『時間軸』を考慮してなかったことです。

新規事業の1つは、まだYouTubeもそれほどでなく、AmebaTVなどなかった時に、独自のネットTVチャネルを立ち上げました。

当時CSチャンネルが沢山できて、観てみるとオタク番組や専門チャンネルが成立していたのです。ここにわたくしは目を付けました。最初はCSかBSチャンネルの番組枠を買おうと考えていましたが、小さなベンチャー会社は、枠が取れないし高い…。それなら、ネットでTVをやろうと。

私には撮影・編集のノウハウがなかったので、会社員当時、仲良くしてくれた映像制作の業者さんに、撮影の仕方、編集の仕方を一緒に番組を作りながら教えてもらいました。

そしてYouTubeは使わずに、独自に自社用動画配信サイトを作ったのです。この頃は、事業企画や商品企画のコンサルティングで稼ぎながら、この新事業に投資していました。それでも足らずに銀行から融資も受けていて、結果行き詰まり断念しました。

失敗の原因は、スマホ登場前夜のこの時期、動画配信は発芽していましたが、まだまだ一般的でなかったこと、告知には紙媒体を頼らざるを得なかったこと、つまりコストがかさんだわけです。『時間軸』を見甘やり、早くやり過ぎたということです。


3つ目の失敗も『時間軸』を考えなかったことです。

前述のネットTVと同時並行で、NPOに同行して全国の「認知症・介護の会」の取材をし、介護のポータルサイトを作ったことです。コンサル業務の合間を見計らっての北海道から九州までの取材活動は、やはりコストが掛かったわけです。

今でこそ、介護や認知症の問題は普通に話題にされていますが、当時は市民団体が草の根的に支援活動をしていた時期です。今もそうですが、市民団体やNPOは資金不足と戦っています。この問題を弊社がポータルサイト(今でいうプラットフォーム)を作り、あるやり方で解消できるはずでした。(その頃、弊社はソーシャル・エンタープライズを標榜していました。今もですが。)

取材活動はコストの問題は別として順調に進みましたが、スポンサーが付かなかったのです。まだ、介護や認知症が社会問題と大きく取り上げられていなかったからです。弊社に資金力があれば耐えられたのでしょうが、小さなベンチャー企業としては『時間軸』を見誤り、実行するのが早すぎたのです。


シナリオ・プランニングを策定する際には、予兆情報がいつ位に発現し世の中に認知されるのか、3年後なのか、5年、10年先なのか『時間軸』をおさえて下さい。そして、『タイミング』です。「今、この時から(だから)取り組むべき」と表明するタイミングも重要です。

 

私の失敗談が参考になるかわかりませんが、あなたが“あり得るだろう未来”に果敢にチャレンジされることにエールを送り、シナリオ・プランニングの回を終わります。

 

シナリオ・プランニングのワークショップを承っています。

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