隠れたキーマンを探せ! データが解明した最新B2B営業法 「社長の本棚」

この著書は、米国調査会社CEBが主に大手企業と大手企業を舞台にした
B2Bの新しい営業法を解説したもので、神田昌典氏が輸入してきた実践本です。

これをクリエイターさんやフリーエージェントの皆さんに、どうお伝えすれば良いか?


ずいぶんと噛んで噛んで解釈した結果、全部をお伝えするよりは、

商談・プレゼンした後に数日待たされる、その間の不安、
クライアント内で話はちゃんと伝わっているのだろうか?
それに対して、返事の連絡を待つしかないのだろうか?

ここに的を絞って一緒に考えるものにしようと思います。
(正直、この本の通り実行するのは大変ということもあります)

企業営業のアポイントメントのとり方や初回プレゼンの際のトークや注意事項などは
百戦錬磨のプロにアドバイスをもらってもらうとして、
ここでは、

企業営業はこれから、という方には
「クライアントの裏側ってこうなってるんだあ」

そして、企業営業をすでにしている方は
一緒に対策を考えてみてください。

目次

顧客満足から顧客の成功への転換(超要約)

5.4人の興亡

37と57のギャップ

購買プロセスの概略イメージ

メンタルモデルの相違による問題

顧客関係者の7つのタイプ

営業が好む顧客関係者タイプ1

営業が好む顧客関係者タイプ2

モビライザー適性診断

モビライザーに買い方をコーチする

コレクティブラーニング(集団的学習)

刺激的なインサイト事例1 最新の歯科器具販売の例

刺激的なインサイト事例2 ゼロックス社コピー機販売の例

引き寄せて一緒に考えてみましょう(動画の営業のケース)

あとがき

ということで、超要約から。

顧客満足から顧客の成功への転換(超要約)

上手に売るのも大変であるが、顧客が上手に買うのをどうやって手助けすればよいか?

最大の競争相手は、ライバルの販売力ではなく、むしろ顧客の決断力である。

顧客の購買プロセスに対するサポートをもっと重視しなければならない。

これらに対するアプローチ方法が述べられています。

(要約にもなっていませんw)

5.4人の興亡

購買決定に関わる人数は平均で5.4人であると述べられています。

が、大企業でなく、大規模な商談でもなければ、

話半分としても3人は購買の意思決定にはかかわっているでしょう。

ここでは、5.4人のままとしますが、単なる人数の問題ではなく、

多様性の問題であり、集まって決定を下すとなると話は面倒になります。

グラフの通り、購買決定に関わる人が増えるごとに

買ってもらう可能性が低くなります。

かと言って、それを回避するために、全員を追跡し説得する営業なんて出来ませんよね。

(従来の営業は、頑張って関係者総当たりを目指しています)

37と57のギャップ

あなたに接触して直接のアドバイスをもらう前に、

実はクライアントでは平均で購買プロセスの57%まで進んでいます。

その途中、クライアント内で関わる人たちの対立は37%の時点でピークに達しています。

そのピークの中心テーマは「ソリューションの特定」であり

「サプライヤーの選定」ではありません。

つまり、たとえば販売促進でしたら、

動画を使うのか、紙媒体を使うのか、といった対立です。

購買プロセスの概略イメージ

購買プロセスはどのように進むのか、概略イメージです。

スタートは「顧客の現状」、つまりクライアントの中の1人(か2人)が

「変わる」必要性を感じるところから始まります。

「変わる必要」を感じたクライアントの1人は、

フェーズ2「新たな行動に挑戦しようとする個人の意向」へ進みます。

購買決定に関する集団、自分以外の残り4.4人の合意にむけてフェーズ3に進みますが、

ここで1人の「私」から複数の関係者の「私たち」、個から全体へ移行します。

他の関係者を巻き込み、説得し、合意させなければならない難しい仕事です。

ですが、逃げては通れません。

集団の合意を得るために、プロセスのどこかで関係者同士をつなげなければならません。

メンタルモデルの相違による問題

1人1人、違ったメンタルモデル(考え、価値、思い込み等)があります。

共通の目標に合意できず、しかし何かに合意しなければならないため、

波風立てないように間をとって合意しようとする、または何もしないという合意をする。

これがコモディティ化の罠の正体で、合意形成にしくじると

なんと製品・サービスを購入する可能性が50%も少ないのです。

顧客関係者の7つのタイプ

冒頭、クライアントの意思決定に関わる人は5.4人いて、

それは人数の問題ではなく、多様性の問題である、と述べました。

では、どのようなクライアントにあなたは接するのでしょうか。

ここでは、7つの顧客タイプを挙げます。

「私は、このタイプのクライアントさんが望ましいかな?」

くらいでみておいてください。

 

営業(あなた)が好む顧客関係者タイプ

この図の「ハイパフォーマンス」というのは、やり手営業、

「普通のパフォーマンス」は、文字通り普通の営業と読み替えてください。

やり手営業が、取引先キーマンとして選ぶのが、

「ゴー・ゲッター」「ティーチャー」「スケイプティック」です。

普通の営業がキーマンとして選ぶのは、よく話を聞いてくれ助言をくれる

「ガイド」「フレンド」、そして自分の手柄にしようとする「クライマー」です。

営業が好む顧客関係者タイプ

合意形成に向けて、組織的行動を推進する可能性が高いか低いかを示したグラフです。

左3人を「モビライザー」と呼び、右3人を話し好きな「トーカー」と呼びます。

モビライザーは、購買に向けて推進する可能性が高く、

このグループをあなたが味方につければ、31%パフォーマンスが上がります

とはいえ、組織行動を推進するくらいの人たちですから、

あなたとの商談に気持ちよく対応してくれるとは限りません。

一方、話好きのトーカーは、あなたに組織内の話をしてくれたり、

時間をつくって相談にものってくれる、ある意味やさしい人たちです

でも、このグループは、購買意思決定を推進する可能性が低いのです。

 

モビライザー適性診断

では、このモビラーザーをどのように見つけ出すか、のフロー図です。

「刺激的なインサイト」のインサイトって何?はあとで話すとして

ここでは新しい情報、たとえば「動画活用の有効性」とでもしましょう。

商談相手が知らない情報を与えるところから始まります。

関心を持った場合、挑戦的・刺激的な質問をするか?

商談中に身を乗り出して、「それ本当の話なの?」と食いついてきても

ドギマギしないでください。

あなたのプレゼン内容に引き寄せられた証拠です。

組織と自身のどちらを優先するのか?

ニーズや課題を、部門や会社全体について語るか?それとも自分のことを語るか?

「たしかに、そう言われればわが社にはそういう課題があるな」

というのはYES

「うん、じぶんもそう思ってたんだよね」

というのはNOです。

事実を話すか、意見を述べるか?

会社や部門のニーズや課題に対して、

「事実、わが部門ではこういうニーズがあって、こう困っている」は、事実を

「わたしとしては・・・」という方は、意見を選択。

モビライザーなのか、トーカーなのか

ここでおおよそのモビライザーとトーカーの分類ができます。

次のステップの「調査やタスクを依頼したり、影響力を調べたりしてくれるかどうか」

で、モビライザーであることを確認できます。

注意しなければならないのが、

モビライザーは、肩書きが偉いかどうかではないということです。

 

モビライザーに買い方をコーチする

商談相手がはじめからモビライザーだとラッキーですが、

そうでなかった場合は、なんとかモビライザーに会えるきっかけづくりが必要になりますね。

ここの課題は、百戦錬磨の営業経験者にアドバイスをしてもらってください。

さて、モビライザーに会えばあなたがすることは、

モビライザーの力になることであり、買い方をコーチすることです。

「この人なら状況を理解し、私の取り組みをサポートしてくれる」と

モビライザーに確信させることです。

  1. モビライザーの注意を惹きつける
  2. 行動変革を支持したいと彼らに思わせる
  3. 共通のビジョンのもと、他の4.4人の支持を集めさせる
  4. そのビジョンをきっかけに、顧客にサプライヤー独自のソリューションを想起させる

合意形成プロセスへの対応に必要な計画作成や考察の負担を軽減してあげること。

そして、モビライザーをコーチしてチームをコレクティブラーニングに関与させることです。

 

コレクティブラーニング(集団的学習)

この狙いは関係者とあなたをつなげることではなく、関係者同士をうまくつなげること

合意形成を後押しするために、学習の場を準備することです。

簡単にいえば、同じ土俵の上に関係者全員にのってもらい、学習・体験をしてもらうことです。

同じ学習・体験をすれば、個々の判断がどうなるかは別として、

同じ方向を向き、同じインプットをされた状態になります。

モビライザーにお膳立てをコーチすれば、5.4人総当たり営業をしなくても良いのです。

では、モビライザーにここまで関係者を動かす動機をどう与えるか?

つまり「刺激的なインサイト」をモビライザーに与え、考え方を変えようと思ってもらうかです。

「刺激的なインサイト」の2つの事例を簡単に紹介します。

 

刺激的なインサイト事例1 最新の歯科器具販売の例

売ろうとしているのは、衛生士さんが使う歯科器具です。

スペックはどれも業界トップ、さらにはコードレスになっている最新型モデルです。

歯科医院長は言います。

「素晴らしい機器なのは十分理解した。でも、まだ以前の機器のリースが残っている。

 今最新型を購入するつもりはない。」

歯科医院の目標は、利益を上げることです。

まだ残金が残っていれば当然の選択かもしれません。

ここで歯科器具メーカーの営業は、医院長との会話の中に

衛生士さんが休職することを聞きます。

この歯科医院では、衛生士さんは、手首を痛めて治療をすることが多く、

これまで多数の衛生士さんたちが休職や退職をされていることを聞いたのです。

衛生士が一人いないということは、経営上の目標の利益を上げることの課題になります。

メーカーの営業は、データを探し、ヒアリングをして回りました。

この医院のほかにも多くの衛生士さんたちが職業病とでもいうのか、

同じ痛みで休・退職をしている現状を知りました。

そして、その原因が、重たくてコードがあり、取り回しが不便な歯科器具で

繊細な治療を施しているのが理由であることを突き止めたのです。

ここで売り込もうとしていた歯科器具のメリット(軽くてコードレスなど)と、

利益を上げたい医院長の思惑が一致したのです。

衛生士さんの健康を大事にすることが経営上でも大切なことであるというインサイト。

こうして、歯科器具メーカーの営業は、売込みに成功したのです。

この事例のように、クライアントが気のつかない情報を与え、

考え方を変えさせる提案が「刺激的なインサイト」です。

 

刺激的なインサイト事例2 ゼロックス社コピー機販売の例

ゼロックス社が開発したのは、コストが安くメンテナンスが楽なカラーコピー機です。

まだ白黒コピーが全盛の学校への売込みです。

やはり、技術力は理解してもらえましたが、まだ白黒でよいという答えでした。

営業は考えました。オンライン授業ではカラーなのに、配布する資料は白黒でよいのか?

そこで営業は、色が生徒の学習効果に影響をする、というデータをとったのです。

学校側は、生徒の学習向上が目標のひとつですから、

カラー印刷が生徒の学習向上効果に良い、と気づくと購買行動を起こすことになるのでした。

 

引き寄せて一緒に考えてみましょう(動画の営業のケース)

わたくしは動画のプロではないので、逆にクライアント側の目線でみてみます。

提案の動画は、美しさやクオリティでの差やインパクトの差があることは理解できる。

それはクリエイターさんの腕の差でしょ。

動画は、一部の若者の媒体であって、やはり紙媒体の訴求力にはかなわない。

動画は、ホームページをしっかり作っておけば別にいらないのではないか。

怒らないでくださいよ。

あえて、クライアントのスケイプティック役を演じてみました。

さて、あなたは、わたしの上記のようなメンタルモデルを壊し、

新しいメンタルモデルをつくらせるために、どのような提案をし、

更には、わたしを使って購買意思決定チームを動かそうとしますか?

わたくしがクライアントだったら、こう動いて、こう思う、というイメージで書きます。

・売込みにきた動画クリエイターさんは、どういう人?

  ホームページを見にいきます。

  ポートフォリオ、これまでの事例、私はこういう人、想いって掲載あるか?

  動画に対するマーケティングの知見はその中に見つけられるか?

・クリエイターさんに会ってみけど、作品の内容は素晴らしかった。

 でもやっぱり紙媒体では?

  クライアントである私が売りたいもの、伝えたいものの理解は出来たのだろうか?

  紙媒体が有効だと思っている私の考えを変えさせるインサイトはさきほどあったか?

・クリエイターさんが教えてくれたインサイトは衝撃だった。動画活用にも納得した。

 しかし、これを関係者にどう伝えればよいのだろうか。

 関係者全員にはなかなか会えない。

 みんなに理解してもらうには、どうしたらよいだろうか?

考えられる対策としては、

モビライザーが関係者の合意がとりやすくする後ろ盾になるために、

たとえば、動画が有効であるということの理解、学習をしてもらうため、

ホームページでの情報を増やし、関連する情報のリンクをつけたEメールを

モビライザー経由で関係者全員に転送してもらい

コレクティブラーニングをしてもらうのはどうでしょうか?

余談ですが、ここまで書いていて、

超優秀なブロガーさんたちが伝授している

ブログの書き方と同じなのではないかな?

そう思っているところです。

初回のプレゼンから返事を待っているだけではもったいないです。

さて、あなたなら、どのように動きますか?

 

あとがき

この本を読もうと思ったのは、神田昌典氏が輸入してきたもので

且つ、ダニエル・ピンク氏が推薦していたからです。

久々に読み込むのに手こずった著書でした。

ましてや、これをどのようにお役に立ててもらえるかどうかを考えると

いつも以上に時間がかかってしまいました。

今回ご紹介した内容は、ほんの一部、イントロダクションにすぎません。

まだまだたくさんのことが書かれています。

ブロッカーへの対策はどうすればよいかなど、

ご興味がある方は、手に取ってみてください。

それでは、あなたの成功を祈願して終わります。

世界最先端8社の大戦略 「社長の本棚」

世界最先端8社の大戦略「デジタル×グリーン×エクイティ」の時代

著:田中道昭 日経BP(2021)

 AMAZONにリンク(目次等ご確認下さい) 

立教大学ビジネススクール教授の田中道昭先生の著書です。

企業戦略としてDX(デジタル・トランスフォーメーション)

世界最先端8社の事例を挙げながら、

「デジタル×グリーン×エクイティ」を中心に据え

サーキュラー・エコノミー(循環型経済)をグランドデザインとして

「人×地球環境主義」をパーパスに。

という主張の内容です。

では、いつも通り要点に絞り、わたくしが何を引きつけたかを最後に述べたいと思います。

世界最先端8社

ここで取り上げられている企業と要点は、

  • アマゾン 「カスタマーセントリック」
  • セールスフォース 「カスタマーサクセス」
  • マイクロソフト 「成長マインドセット」
  • ウォルマート 「企業文化を刷新」
  • ペトロン 「CXを徹底的にこだわる」
  • テスラ 「宇宙レベルの壮大さ×物理レベルの細やかさで地球を救済」
  • DBS銀行 「会社の芯までデジタル化」
  • アップル 「デジタル×グリーン×エクイティ」(解説なしのため筆者が追加)

「主義」の転換

まだ多くの企業が自社中心主義を抜け出せていない中、

日本の先端企業も顧客中心主義を掲げ進化をしようとしています。

顧客は利益の源泉であることは自明の理ですが、

著者の田中先生は、これからは

人間中心主義

であると述べられています。

ここでいう人間とは「顧客・従業員・取引先・地域社会」

のステークホルダーです。

この人間中心主義は、国が掲げた「Society5.0」が目指す世界であり

合致している方向です。

さらにこの先は、

カーボンニュートラルに代表される地球環境への取り組み

エクイティ(本来は公平・公正という意味ですが、

ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンを含めた表現になっています)を挙げ、

「デジタル×グリーン×エクイティ」からの人×地球環境主義を

パーパスの根底に据えた企業戦略の方向性の必要性を説いています。

グランドデザインの転換

企業中心主義では、

リニア・エコノミー(大量生産・大量消費・大量廃棄)

であるものを

3R(リデュース・リユース・リサイクル)にプラスして

資源投入量・消費量低減、ストック利用、そしてサービス化を持ち合わせた

サーキュラー・エコノミー(循環型経済)

への転換が必要であると述べています。

デジタルシフトに求められる「5つのシンカ」

上記の転換は、デジタルシフトによって成されるものであり、

デジタルシフトには、「5つのシンカ」があると説いています。

  1. 「本質」のシンカ
  2. 「CX」のシンカ
  3. 「データ分析」のシンカ
  4. 「つながる」シンカ
  5. 「経営スピード」のシンカ

 これらの「シンカ」については、本著書をお読みください。

引き付けたこと

わたくしの回りの企業でも、DXの号令が声高らかに叫ばれています。

しかし、内容を訊くと、DXとは自社内の業務改善をデジタル

と言っているような気がしてなりません。

DXは何のためなのか、もう一度問い直してはいかがでしょうか。

それから非デジタルネイティブが多い、

つまりモノづくりの日本企業において参考にするべき今回の事例は、

ウォルマートとペロトンです。

ウォルマートはアマゾンの台頭によって衰弱企業かと思われていましたが、

どっこいDXで凄い進化を成し遂げているのです。

古くは「クリック&モルタル」デビッド・S. ポトラック (著), テリー ピアース (著)(2000)

非リンク

を2000年に読んだときから感じていたのですが、

リアル×バーチャルのシームレスな融合がこれから求められる

と思っていました。

ウォルマートは、ご存じの通りリテール(店舗)No.1企業です。

この伝統的企業がDXを機に息を吹き返し、更に進化している事例は

日本のリアル店舗中心企業には参考になると思います。

また、ペロトンはフィットネスバイクのDXでイノベーションをした企業です。

売って終わりのフィットネスバイクをベースにSaaS企業になり

フィットネス業界のアップルとまで呼ばれています。

売り切りモデルが多い中、素晴らしいモデルだと思います。

出典:文春オンライン

そして、ソーシャル・イノベーション・エヴァンジェリストを自称する身として

顧客主義(→人間中心主義)への転換に、

企業市民という考えを持ち、地域社会との共存共栄

どのようなビジョンをもったDXを進めていくべきか

改めて考えさせられました。

田中道昭先生の著書は、非常にわかりやすい解説になっていますので

ぜひご興味のある方はご一読されることを希望します。



クリエイターの企業営業「裏の裏編」


目次

1.裏の世界へようこそ

2.裏の世界探訪

3.裏から表の世界へ


前々回、企業営業には「表」と「裏」がありますね、

とお伝えしました。

「表」が、広告・メディアの世界で、

「裏」が、企業内部の世界です。

「表」は、皆さんが得意なところですので割愛。

「裏」には、組織や営業のドキュメント撮影編集等

がありますよ、というお話しでした。

今回は「裏の裏」編

キーワードは「継承」「SECIモデル」です。



1.裏の世界へようこそ

今回もドットコム企業(今はそんな呼び方しないか?)ではなく

主に伝統的企業を営業ターゲットとして場合の例です。

モノづくりの企業、サービスの企業かは問いません。

では、ちょっとイメージ・トレーニングです。

あなたは、アポを頑張ってとった企業の入り口にいます。

自動ドアの前でひと呼吸して、まずは受付に行きます。

大丈夫。ひとりロールプレイングしたし

準備万端!緊張もそれほどしていない!

受付嬢か、置いてある内線電話で、クライアントを呼び出します。

受付周りの打合せブースか、よく顔を出す企業でしたら

オフィス内の机に案内されることでしょう。

アイスブレイクを済ませ、商談が始まります。

順調に話しが進みます・・・

画像3

さて、ふと、廻りを見渡したあなたは、

「ここが裏か?」「撮影することなんてないよな?」

と思うことでしょう。

今回のタイトルは「裏の裏(うら)」です。

そうです、ここは「裏の表(おもて)」。

つまり、あなたはまだ、企業の「表」にしか

たどり着いていないのです。

前振りが長くなりました。

でも、ここで一つワークをしてみましょうw

ノートを出し書き出してみてください。


問)この企業の商品やサービスが消費者に届くまで

どんな部署・人たちが関わっていますか?

例えば、今会っている人は「営業」です。


・・・メモ・タイム・・・

書き出せましたでしょうか?

例として、

「営業」「開発」「設計」「製造」「工場」

「工事」「アフターサービス」「店舗」「配送」

「マーケティング」「企画」などなど

この部署・方たちがこの企業を構成しています。

次に

書き出した部署・人で会ったことがある人を

〇で囲んでみてください。

囲んでいない人たち、つまり、あなたが会ったことのない人たち

この人たちが「裏の裏」

この企業を支えている屋台骨です。

画像4

2.裏の世界探訪

上記で〇が付かなかった部署・人にも

営業をするチャンスがあります。

営業の人に紹介して頂くのも手です。

え!?何をきっかけに話をすればよいか?

「あちらの部署にもお仕事ないでしょうかねー?」

と聞くだけもありです。

って話が終わったら怒られますねw

では、ほんのちょっと遠回りします。

日本には様々な課題・問題があります。

その中でも重要な課題がご存じ、

少子化にともなう「超高齢社会」です。

これは企業経営にも大きく影響しています。

それは、キーワードで取り上げた「継承」問題です。

画像1

上のグラフは、産業別の継承に問題がある、と答えたものです。

お金系、不動産系以外は、ほぼ継承に問題を抱えています。

では、継承にどんな対策をしているのでしょうか?

画像2

高齢者従業員の再雇用や勤務継続が第一位…

第二位をみてください。

「継承するべき技能の見える化」

テキスト化、マニュアル化、IT化とあります。

IT化って、DX(デジタル・トランスフォーメーション)

を目指すものでしょうが、そんなに簡単にはいきません。

AIを導入したところで、

熟練者の「カン」「キビ」を洗い出し、整理して

チューニングをしなければ使い物にならないのです。

お待たせしました。

撮影隊の皆さんの出番です。

画像5

何をすればよいか?提案すればよいか? って

キーワード通り「承継」です。

ただ撮影すればいいのではなく、

「知識の承継」をするのです。

これをみてください。

第二のキーワード 「SECIモデル」の図です。

SECIモデル

いかにして、知識の伝達をして、さらに進化させるか

というのを示した概念図です。

細かい説明は今回は飛ばします。

勉強されたい方は、下で本を紹介します。

(私の恩師、紺野登先生の恩志、野中郁次郎先生の本)

暗黙知というのは、さきほど出て来た

「技能者のカン、キビ」のことで

言葉で文章で表現しにくいものです。

形式化というのは、文章、マニュアル化など残せるものです。

さて、撮影隊の役割は図の右上「表出化」です。

「技能者のカン、キビ」を引き出し撮影するのです。

簡単に言いましたが、簡単でないことは知っています。

簡単でないからAIにはすぐ置き換えられないのです。

簡単でないから競合が少ないのです。

簡単でないから、高額案件なのです。

次に出番は「編集隊」です。

私が編集隊でしたら、やはり撮影時の<空気感>が

わからないので、撮影隊と同行すると思います。

編集隊は引き継いだデータを

どのようにしたら承継を受ける人に伝わるか

腕の見せどころです。

幸いにして、承継を受ける若い方はデジタル世代です。

文字より動画の方が親しみやすいのです。

アウトプットのフォーマットは、

次の「機材隊」との相談になると思いますが、

タブレットが中心になるでしょうし

編集の仕方も、「表」とは違い

再生される「場面(シチュエーション)」を

想定して行わなくてはなりません。

音がうるさいところかもしれませんし

湯気がでているところかもしれません。

大変お待たせしました。「機材隊」の登場です。

「どのような場面でこの動画をみるのか?」

を想定してみてください。

事務所の中でしょうか?現場でしょうか?

もっと進んで、スマートグラスの中でしょうか?

画像7

上の写真のようにスマートグラスの活用が進んでいます。

VRやARなどの活用方法の事例が

これからたくさん出てくると思います。

ぜひ押さえておかれることを希望します。

(写真出典:BMW、整備工の眼前に図面を表示するスマートグラス–全米のディーラーに導入へ CNET Japan)

3.裏から表の世界へ

「プロフェッショナル 仕事の流儀」

「アナザースカイ」

などの仕事や人に係わる番組をご覧になったことがあるでしょう。

引き込まれますよね。

何故引き込まれるのでしょうか?

私たちが直接知ることのない「裏」の世界だから。

私はそう感じています。

ここまで「裏」の世界を捉え撮影・編集してきました。

案件のメインは「裏」による「裏」のためのものです。

ここで第二加工、第二案件の獲得です。

「裏」用を「表」用に加工するのです。

消費者が知らない「裏」の世界

「プロフェッショナル」「アナザースカイ」のような

出来るまでの物語です。

これをストーリー・マーケティングと呼ぶ人もいます。

ひとつの案件をふたつにして

二度収益を得るチャンスです。

トライしてみる価値はあると思います。

今回の「裏の裏」はいかがでしたでしょうか?

かなり難儀なお題だと思います。

整理すると、


❶商品やサービスには「裏」の「裏」がある

❷企業の根本的な課題を見つけ、そこにカメラを向ける

❸再生される場面を想定して編集する

❹付加価値として新技術(ハード・ソフト)を考える

❺「裏の裏」は物語に再編集できる


でした。

いつかお役に立てることを祈念します。

企業の社会貢献活動について考える2

前回は、企業人には2つの顔と2つの言語があると述べました。

一つが企業人としての顔と言語、

二つめが地域市民としての顔と言語。

今回は、それは何に影響をうけた発生したのだろうか、

社会学、都市社会学、コミュニティ論のアプローチから探ってみると、

それは『場』に影響されてきた歴史があります。


 

昭和初期、私を含め読者の多くも生まれる前の頃の話です。

当時は、働く場所と生活の場所が一緒のケースがほとんどでした。

つまり「職住一致」だったのです。

時々街角にまだ見れるのが、一階が店舗、二階が住まい

「店舗付き長屋」です。

これが当時の「職住一致」の『場』だったのです。

 

 

同潤会中之郷アパート (出典:東京―昭和の記憶)http://www.dagashi.org/tokyo/oshiage2.html

同様に上掲の同潤会アパートですが、

一階が店舗、二階が住まい、三階が賃貸(だったと思います)

これについてご興味がある方は、

東京大学教授 大月敏夫先生の著書に頼るとよろしいかと思います。

この形態は江戸時代の町に遡ることができます。

通りに沿って店を開き、その二階が住まいになっていました。

街区を囲む建物の裏手には、小さなコミュニティができていました。

出典: 「絵でみる江戸の町」 http://bn.shinko-web.jp/recall/000674.html

「職住一致」のこの時代には、2つの顔と2つの言語は、

存在していなかったと思われます。

 

戦後の復興期、焼け野原から立ち上がり超右肩上がりの経済発展時代、

地方から都市への人口流入の様子は、NHK大河ドラマの「ひよっこ」や

ちょっと古いかもしれませんが、太田ひろみの歌「涙のハンカチーフ」

で象徴される時代です。

そうです、大量生産・大量消費の時代、

「マスの時代」に突入しました。

何も家電が売れた、家が売れた、服が売れた、

というだけではありません。

娯楽もマスだったのです。

TV番組も、歌謡曲も、今のように多様ではなく

ほぼ同じ番組、同じ歌を歌っていたのです。

つまり、情報は発信者側にあり、

消費者は、それを選択する権限くらいしかなかったのです。

 

この時代、「仕事」は都市の「職場」に行き、

「住まい」は満員電車で片道1時間以上・・・

都市化によって「職」と「住」の分離が行われたのです。

「職住分離」です。

 

時を少し飛ばしますが、通信・インターネットの出現です。

企業は消費者の購買行動をチェックするようになりました。

もう、みなさんがご存じのPOSデータです。

何時何分に何歳位の男or女が、何をいくつ買った…。

売れない商品はどんどん排除され、新しい商品が出ての

生き残りループが始まりました。

私から見ると、企業がとっていたのは、購買行動というよりも

売れ筋情報です。

でも、ここにない情報があります。

消費者の顔、声、会話、立ち振る舞い(手に取るまでの迷い)などです。

現在では、ICチップやスマートカメラなどIoTとAIによって

この不足情報も解消される時代が始まっています。

しかし、そこでも足らない情報があります。

ヒューマン・タッチ です。

AIが進化しても、ロボットがサポートしても

その部分はアンドロイドを待つしかない?のかもしれません。

 

話しを戻しますが、

日本経済が右肩上がりの成長期にあって

時代と共になくなりそうかな、と思っていたら

テコ入れ=再起を賭けた取り組みをみせる企業があります。

(その企業全体の戦略や収益等はここでは触れません)

みなさんの近くにもあります(あった)でしょうか、

「街の電気屋さん」

昭和のビジネスモデルが、令和に生まれ変わる

期待を込めて思いたいのです。

これぞヒューマンタッチ・マーケティングである、と。

 

この2回目は、少し都市学の方に振れましたが、

・1つの顔、1つの言語は、「職住一致」による

・2つの顔、2つの言語は、都市化による「職住分離」による

・上記は「場」のあり様によって、異なる

ことを述べてきました。

 

次回は、企業の社会貢献活動を

ヒューマンタッチ・マーケティングを紐解きながら

考えてみたいと思います。