ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す

著:山口周 プレジデント社 2020

何気にキツイことを述べられていて、ハッとさせられた。

「高原」に到達した私たちは

「安全で便利で快適な(だけの)社会」から

「真に豊かで生きるに値する社会」へと変容させていくべきである

というメッセージを投げかけられた。

バリューチェーンからバリューサイクル。

社会課題に対するソーシャルイノベーションの必要性。

好き嫌いがはっきり出る著書だと思うが一読する価値は十分にあると思う。

共感が未来をつくる ソーシャルイノベーションの実践知 編著:野中郁次郎

ソーシャルイノベーションって何?と思っている方はもちろんのこと、社会的活動と実利を同時に叶えたい企業、組織、個人に読んでもらいたい実践例集です。

この記事は、毎度のことですが、本の要約や解説よりも、この本を読んで、私がどのように思い、引きつけたを書いています。予めご了承ください。

自己紹介
上場企業に20年勤めました。
住宅営業、営業企画、情報システム、研修講師、企業内シンクタンク
主な実績
まだ広まっていないイントラネットを全国の営業拠点に導入(1998年)社長賞
業界初『インターネットで家づくり』(2000年)、グッドデザイン賞(ビジネスモデル)受賞

サラリーマンをしながら、自腹で社会人大学院に通う。
星野克美先生(未来学)、原田保先生(コンテクストデザイン)、紺野登先生(知識創造)に師事、経営情報修士を取得したのを機に独立

今年(2021年)会社設立15年目に入りました。
主な事業内容
NPOと企業の協業モデル構築、企業の事業戦略コンサルタント、シナリオプランニング講師、企業内動画制作



ソーシャルイノベーションとは

地域や組織の人々の価値観の共有と新たな関係性の構築により、地域や組織に特有の歴史・伝統・文化など人々の暗黙知を可視化・綜合化し、それを新たな手法で活用することによって新しい社会的価値を創造する活動である。技術的変化というおり、社会サービスの提供の新しい仕組み、さらに社会関係や制度の変化に注目する。社会的課題の解決に取り組むビジネスを通して、新しい社会的価値を創出し、経済的・社会的成果をもたらす革新のようなビジネスモデルの要素に着目し、社会的成果と経済的成果の両方を追求するという議論が多い。

難しい文章なので誤解を恐れず、超簡単に述べると、地域や社会的な課題をビジネス視点でステイクホルダーと共に解決し、新しい社会的価値を創ろう、ということです。

地域や社会的課題の解決というと、なんとなく儲からない、ボランタリーの世界か、とイメージしがちですが、課題を解決しながら利益を得るビジネスモデルをつくり、ちゃんと儲けていこうよということです。

良く解釈すれば、どんなビジネスも結果的に誰かの役に立って(課題解決)、その対価として利益を得ていますよね。それだけでも大変なことなのに、なぜソーシャルイノベーションみたいな面倒臭いこと考えなくちゃいけないのでしょうか?

ステイクホルダー資本主義

株主価値最大化を目指す時代が終わりを告げた今、賢慮に基づく新主義社会の実現に向け、ソーシャルイノベーションの果たす役割はより一層大きくなっている。その一つのキーワードが「ステイクホルダー資本主義」である。2020年初頭の世界経済フォーラム(通称:ダボス会議)の年次総会では、ステイクホルダー資本主義がテーマとされた。コロナ禍もあって、企業の社会的責任に対する意識も高まった。環境(Environment)社会(Social)、ガバナンス(Governance)つまり、ESGを重視した経営がより求められるようになってきている。企業の社会的使命をないがしろにした拡大一辺倒のマネーゲーム志向の経営は、今後淘汰されていくだろう。(P292)

これまた分かるようで難しいので超訳(超簡単に訳す)します。誰に向いた、誰のための企業・仕事なのですか?という問いに対して、これまでの資本主義では、お金を投資してくれた株主の方を向けていたのです。でもやっぱり買ってくれるお客さま(顧客)のことを考えないと、いやいや支えてくれる従業員もあっての会社だよ、などという流れがあります。これらの関係者をステイクホルダーと呼んでいるのですが、これからはそれらだけではなくて、環境や社会のこともステイクホルダーに含んで考え、ちゃんとした企業経営をしなくちゃね、ということを言っています。

実はこの裏には、モノが豊かでなかった時代の大量生産大量消費(企業>消費者)から、もうちょっとターゲットをセグメントしてみようか(企業≧消費者)、モノが充実しちゃったので個人毎に対応しなくちゃ(企業=消費者)、なんか同じようなモノばかりで価格競争になってきたぞ(企業<消費者)何を作ればいいのかわからないよ(現在)という流れがあるのです。今やクリエイティブ・エコノミーの時代に突入していますが。

一方で足元を見ると、様々な課題・問題が続出していたのです。大きいところでは地球環境問題、国内では、超高齢社会、人口減少、社会保障制度の危機、都市一極集中、空家増加、限界集落、働き方では、年功序列崩壊、総中流妄想の崩壊(富の二極化)、働き方改革などなど・・・。これらの課題・問題に対して、公に代わってNPOや市民団体、ボランティアが草の根で活動しているのです。この人たちも大事なステイクホルダーなのです。

三方よし

近江商人の経営哲学の一つと言われる「三方よし」、これは「商売において売り手と買い手が満足するのは当然のこと、社会に貢献できてこそよい商売といえる」という考え方です。これまで長々と超訳してきましたが、この考えがソーシャルイノベーションの根本だと私は解釈しています。

2020年に伊藤忠商事は新たな企業理念をこの「三方よし」と定めました。創業者の伊藤忠兵衛も近江商人だったそうで、ある意味、創業思想回帰です。

清水建設では、相談役だった渋沢栄一の教えである、道徳と経済の合一を旨とする『論語と算盤』を社是とし、経営活動を通じて果たすべき社会的使命を経営理念としています。

なんとなくソーシャルイノベーションのイメージが湧いてきましたでしょうか?これから事例のいくつかを超訳しながら、解説していきます。

リビングラボとは

リビングラボ(Living Lab 以下、LL)は、事業者―市民―行政のパートナーシップをベースに、実際の生活・利用環境(リアル・ワールド)を舞台に、製品やサービス(以下、サービス)の開発者・提供者と市民やユーザー(以下、市民)がサービスを一緒に開発する活動である。(P15)

LLには共創(Co-Creation)Testbed(実際の運用に近い状態で検証を行うプラットフォーム。実証基盤)の2つの機能があり、市民にはサービスを共創する時のパートナーとサービス利用のモニターという2つの役割がある。共創とはサービスのアイデアの提案や企画等を開発者などと一緒につくる活動であり、Testbedはサービスの評価および、その利用に関するコンテクスト(文脈、物事の流れ)の解釈・洞察の獲得を行うものである。なお最近では、LLの活動を通じて新たな問題を発見することも重要な機能になっている。(P16)

超訳します。何をつくってよいのか分からない、逆に何がほしいのか分からなくなってきた現在、ならば直接市民に聞こう、いや一緒に考えてよ、出来上がったら使ってみて、もっとどうしたらいいと思う?これって社会の役に立つよね?ということを学者さんや行政も入ってワイガヤする場がLLです。

このLLの事例をみてみましょう。

松本ヘルスバレー構想

長野県松本市は、超少子高齢型人口減少社会の急速な進展を予測し、国に先駆けて「健康寿命延伸都市・松本」を将来の都市像に位置付けました(2020年)。この「健康寿命延伸都市」の創造に向けて、「松本ヘルスバレー構想」を打ち出したのです。

この構想は、予防医療・生活習慣の改善、社会的な絆の充実、アクティブシニアの活躍など、健康時から終末期まで安心して暮らし続けることのできるまちづくりを、産業の視点から実現することを目的に策定されました。(詳しくは https://m-health-lab.jp/ )

市のまちづくりビジョンのもとに、市民、企業、教育機関、金融機関などが集い、共にLLをしながら、市民の健康維持、商品・サービスの開発と提供、企業誘致と雇用創出など、市を挙げての地域活動で、知識創造の源泉地とでもいえる競争優位なポジションを構築しているモデルといえます。

参加企業の開発例としては、金融機関では健康寿命延伸サポートのための定期預金、交通社のヘルスツーリズム、電動アシスト付き四輪自転車、カラオケの介護予防システム、ボイストレーニングとエクササイズのプログラム、車椅子牽引装置、健康によいレシピ、各種スマート機器などがあります。市は事業補助金を設けたり、事業と利用者の支援活動を行っています。ここまでくると、一大ヘルスケア産業地といえるでしょう。

オープンイノベーション

クレイトン・クリステンセンの「イノベーションのジレンマ」は読まれたことはありますでしょうか。革新的な技術やビジネスモデルで従来の企業を打ち破った企業が、大企業になると革新性を失い、優良企業が見向きもしなかった破壊的な新技術により、業界の勢力構造がひっくり返されてしまうこと(P131)を述べている本です。

このような組織の限界を克服しようとする考え方の一つに、ヘンリー・チェスブロウが提唱した「オープンイノベーション」がある。彼は「オープンイノベーションとは、組織内部のイノベーションを促進するために、意図的かつ積極的に内部と外部の技術やアイデアなどの資源の流出入を活用し、その結果組織内で創出したイノベーションを組織外に展開し市場機会を増やすことである」とし、オープンであることが知の相乗効果を誘発し企業や地域社会の変革につながることを示した。要は、境界を越えて異質な知の相互作用の機会を増大することによりイノベーションの可能性を高めるのである。(P132)

これも超訳すると、硬直した企業組織では、社内政治や上司の顔色ばかり気にすることが多くなり、革新的な商品やサービスの企画開発が期待しづらくなっていますよ。だから、外の人を受け入れたり、外に出ていったりして、新しい関係の中から新しいことを発想することが大事になりますよ、ということです。

次はこの事例として、NTTドコモのアグリガールの事例を紹介します。

生活者が繋ぎ深めるオープンイノベーション

アグリガールは、ドコモ内で農業分野のICT普及を担う女性社員たちの非公式組織(活動)です。彼女たちアグリガールは、ICT技術を活用しながらも、農業を支援したい、地方から日本を元気にしたい、という思いをベースに、農業の現場で農業従事者と向き合って生まれる「共感」の醸成を重視し、そこから新たな価値を持つサービスを共に生み出すことを第一義として活動している。(P133ちょっと要約しました)

すでに非公式活動というところだけでもニオイますよね。若い女性たちが農家の現場に突撃するゲリラ活動なのです。「電話で断られるなら、直接会って断られるほうがいい」というくらい相手の懐に飛び込む積極的な活動です。

最初の彼女が突撃した現場は、畜産農家で、協働した最初のケースが、牛の分娩のタイミングを知らせる温度センサーだったそうです。長靴を履き、牛舎の掃除をしながら待ち、話を訊き、何ができるか考え、提案をしていったのです。

私も営業時代、東京都でも田舎の方を担当していたので、車のトランクには長靴とスコップは入っていましたが(笑)、彼女たちの成功は、「共感」で関係をつなぎ深めたことだということです。

著者は、こう述べています。アグリガールは、自らが生活者でもある。生活者としての目線で相手の懐に飛び込み、難しい言葉は決して使わず、自然体で対応することで「共感」を生み出す。(中略)彼女たちはどのような立場の相手でも、同じ生活者として一心同体となり、自己を超える「われわれの主観」を創り上げようと努力した

私も常々思い述べていますが、企業(人)も、市民である。という思いと同じです。企業と消費者というと対抗軸にとらわれがちで、ちょっと前にはプロダクトアウトからマーケットインへとも言われていますが、彼女たちは境界を取っ払い、生活者同志という「共感」でシンクロした中からニーズを見つけ出したのだと思います。

いま・ここ

ソーシャルイノベーションにおける場は、リアルな日常に棲み込んだものでなければ、機能しない。当事者の参画やコミットメントが、鍵となることはいうまでもないことだが、極論をいえば、産官学民のどんな立場にいる者も、社会において「いま・ここ」を生きる生活者であることは間違いない。(中略)イノベーションは、“I”思考ではなく、“We”思考から生まれる。異質な関係でありながら、互いに補完的な関係であれば、ぶつかり合いながらも対話を重ねることで「1+1が総和以上になる」といった相乗的な活動へと発展できる。(P276)

まとめ

弊社名はコミュニティデザイン研究所です。コミュニティデザインという言葉は、最近でこそ大学の学科名になったり、まちづくり、地域おこし的な活動のことを呼んだりしています。弊社は、創業当時からオフラインであるリアルなコミュニティだけではなく、オンライン上でのコミュニティ、組織内におけるコミュニティをも領域として活動しています。

いずれにしてもコミュニティデザインの領域は限定的であるといえます。それに対して、ソーシャルイノベーションは、方法論としてはコミュニティデザインとほぼ同じですが、広域的で社会的変革をも促すものがソーシャルイノベーションだと捉えることができます。単純化していうと、コミュニティデザインから始まり、ソーシャルイノベーションへと発展するのが理想だと今現在は思っています。

これからの時代には、事例でもみてきましたが、ステイクホルダーがそれぞれのセクターの垣根を取り払い(境界融合)、融合して知(商品やサービス)を創造し、得るもの(利益)は得ながら、新しい社会を創っていく思いが必要だということです。

最後に、近々ソーシャルイノベーションを起こすべく新しいビジネスモデルを一緒に描く多様な職種・技術をもった仲間を募集したいと思っています。

今言えるキーワードは、グローカル、学生、高齢者、観光、商取引、映像・・・。

思い立ったら男なので、ご興味のある方はフォローしておいてください。

twitter  @sugimto_cdi


この著書は、米国調査会社CEBが主に大手企業と大手企業を舞台にした
B2Bの新しい営業法を解説したもので、神田昌典氏が輸入してきた実践本です。

これをクリエイターさんやフリーエージェントの皆さんに、どうお伝えすれば良いか?


ずいぶんと噛んで噛んで解釈した結果、全部をお伝えするよりは、

商談・プレゼンした後に数日待たされる、その間の不安、
クライアント内で話はちゃんと伝わっているのだろうか?
それに対して、返事の連絡を待つしかないのだろうか?

ここに的を絞って一緒に考えるものにしようと思います。
(正直、この本の通り実行するのは大変ということもあります)

企業営業のアポイントメントのとり方や初回プレゼンの際のトークや注意事項などは
百戦錬磨のプロにアドバイスをもらってもらうとして、
ここでは、

企業営業はこれから、という方には
「クライアントの裏側ってこうなってるんだあ」

そして、企業営業をすでにしている方は
一緒に対策を考えてみてください。

目次

顧客満足から顧客の成功への転換(超要約)

5.4人の興亡

37と57のギャップ

購買プロセスの概略イメージ

メンタルモデルの相違による問題

顧客関係者の7つのタイプ

営業が好む顧客関係者タイプ1

営業が好む顧客関係者タイプ2

モビライザー適性診断

モビライザーに買い方をコーチする

コレクティブラーニング(集団的学習)

刺激的なインサイト事例1 最新の歯科器具販売の例

刺激的なインサイト事例2 ゼロックス社コピー機販売の例

引き寄せて一緒に考えてみましょう(動画の営業のケース)

あとがき

ということで、超要約から。

顧客満足から顧客の成功への転換(超要約)

上手に売るのも大変であるが、顧客が上手に買うのをどうやって手助けすればよいか?

最大の競争相手は、ライバルの販売力ではなく、むしろ顧客の決断力である。

顧客の購買プロセスに対するサポートをもっと重視しなければならない。

これらに対するアプローチ方法が述べられています。

(要約にもなっていませんw)

5.4人の興亡

購買決定に関わる人数は平均で5.4人であると述べられています。

が、大企業でなく、大規模な商談でもなければ、

話半分としても3人は購買の意思決定にはかかわっているでしょう。

ここでは、5.4人のままとしますが、単なる人数の問題ではなく、

多様性の問題であり、集まって決定を下すとなると話は面倒になります。

グラフの通り、購買決定に関わる人が増えるごとに

買ってもらう可能性が低くなります。

かと言って、それを回避するために、全員を追跡し説得する営業なんて出来ませんよね。

(従来の営業は、頑張って関係者総当たりを目指しています)

37と57のギャップ

あなたに接触して直接のアドバイスをもらう前に、

実はクライアントでは平均で購買プロセスの57%まで進んでいます。

その途中、クライアント内で関わる人たちの対立は37%の時点でピークに達しています。

そのピークの中心テーマは「ソリューションの特定」であり

「サプライヤーの選定」ではありません。

つまり、たとえば販売促進でしたら、

動画を使うのか、紙媒体を使うのか、といった対立です。

購買プロセスの概略イメージ

購買プロセスはどのように進むのか、概略イメージです。

スタートは「顧客の現状」、つまりクライアントの中の1人(か2人)が

「変わる」必要性を感じるところから始まります。

「変わる必要」を感じたクライアントの1人は、

フェーズ2「新たな行動に挑戦しようとする個人の意向」へ進みます。

購買決定に関する集団、自分以外の残り4.4人の合意にむけてフェーズ3に進みますが、

ここで1人の「私」から複数の関係者の「私たち」、個から全体へ移行します。

他の関係者を巻き込み、説得し、合意させなければならない難しい仕事です。

ですが、逃げては通れません。

集団の合意を得るために、プロセスのどこかで関係者同士をつなげなければならません。

メンタルモデルの相違による問題

1人1人、違ったメンタルモデル(考え、価値、思い込み等)があります。

共通の目標に合意できず、しかし何かに合意しなければならないため、

波風立てないように間をとって合意しようとする、または何もしないという合意をする。

これがコモディティ化の罠の正体で、合意形成にしくじると

なんと製品・サービスを購入する可能性が50%も少ないのです。

顧客関係者の7つのタイプ

冒頭、クライアントの意思決定に関わる人は5.4人いて、

それは人数の問題ではなく、多様性の問題である、と述べました。

では、どのようなクライアントにあなたは接するのでしょうか。

ここでは、7つの顧客タイプを挙げます。

「私は、このタイプのクライアントさんが望ましいかな?」

くらいでみておいてください。

 

営業(あなた)が好む顧客関係者タイプ

この図の「ハイパフォーマンス」というのは、やり手営業、

「普通のパフォーマンス」は、文字通り普通の営業と読み替えてください。

やり手営業が、取引先キーマンとして選ぶのが、

「ゴー・ゲッター」「ティーチャー」「スケイプティック」です。

普通の営業がキーマンとして選ぶのは、よく話を聞いてくれ助言をくれる

「ガイド」「フレンド」、そして自分の手柄にしようとする「クライマー」です。

営業が好む顧客関係者タイプ

合意形成に向けて、組織的行動を推進する可能性が高いか低いかを示したグラフです。

左3人を「モビライザー」と呼び、右3人を話し好きな「トーカー」と呼びます。

モビライザーは、購買に向けて推進する可能性が高く、

このグループをあなたが味方につければ、31%パフォーマンスが上がります

とはいえ、組織行動を推進するくらいの人たちですから、

あなたとの商談に気持ちよく対応してくれるとは限りません。

一方、話好きのトーカーは、あなたに組織内の話をしてくれたり、

時間をつくって相談にものってくれる、ある意味やさしい人たちです

でも、このグループは、購買意思決定を推進する可能性が低いのです。

 

モビライザー適性診断

では、このモビラーザーをどのように見つけ出すか、のフロー図です。

「刺激的なインサイト」のインサイトって何?はあとで話すとして

ここでは新しい情報、たとえば「動画活用の有効性」とでもしましょう。

商談相手が知らない情報を与えるところから始まります。

関心を持った場合、挑戦的・刺激的な質問をするか?

商談中に身を乗り出して、「それ本当の話なの?」と食いついてきても

ドギマギしないでください。

あなたのプレゼン内容に引き寄せられた証拠です。

組織と自身のどちらを優先するのか?

ニーズや課題を、部門や会社全体について語るか?それとも自分のことを語るか?

「たしかに、そう言われればわが社にはそういう課題があるな」

というのはYES

「うん、じぶんもそう思ってたんだよね」

というのはNOです。

事実を話すか、意見を述べるか?

会社や部門のニーズや課題に対して、

「事実、わが部門ではこういうニーズがあって、こう困っている」は、事実を

「わたしとしては・・・」という方は、意見を選択。

モビライザーなのか、トーカーなのか

ここでおおよそのモビライザーとトーカーの分類ができます。

次のステップの「調査やタスクを依頼したり、影響力を調べたりしてくれるかどうか」

で、モビライザーであることを確認できます。

注意しなければならないのが、

モビライザーは、肩書きが偉いかどうかではないということです。

 

モビライザーに買い方をコーチする

商談相手がはじめからモビライザーだとラッキーですが、

そうでなかった場合は、なんとかモビライザーに会えるきっかけづくりが必要になりますね。

ここの課題は、百戦錬磨の営業経験者にアドバイスをしてもらってください。

さて、モビライザーに会えばあなたがすることは、

モビライザーの力になることであり、買い方をコーチすることです。

「この人なら状況を理解し、私の取り組みをサポートしてくれる」と

モビライザーに確信させることです。

  1. モビライザーの注意を惹きつける
  2. 行動変革を支持したいと彼らに思わせる
  3. 共通のビジョンのもと、他の4.4人の支持を集めさせる
  4. そのビジョンをきっかけに、顧客にサプライヤー独自のソリューションを想起させる

合意形成プロセスへの対応に必要な計画作成や考察の負担を軽減してあげること。

そして、モビライザーをコーチしてチームをコレクティブラーニングに関与させることです。

 

コレクティブラーニング(集団的学習)

この狙いは関係者とあなたをつなげることではなく、関係者同士をうまくつなげること

合意形成を後押しするために、学習の場を準備することです。

簡単にいえば、同じ土俵の上に関係者全員にのってもらい、学習・体験をしてもらうことです。

同じ学習・体験をすれば、個々の判断がどうなるかは別として、

同じ方向を向き、同じインプットをされた状態になります。

モビライザーにお膳立てをコーチすれば、5.4人総当たり営業をしなくても良いのです。

では、モビライザーにここまで関係者を動かす動機をどう与えるか?

つまり「刺激的なインサイト」をモビライザーに与え、考え方を変えようと思ってもらうかです。

「刺激的なインサイト」の2つの事例を簡単に紹介します。

 

刺激的なインサイト事例1 最新の歯科器具販売の例

売ろうとしているのは、衛生士さんが使う歯科器具です。

スペックはどれも業界トップ、さらにはコードレスになっている最新型モデルです。

歯科医院長は言います。

「素晴らしい機器なのは十分理解した。でも、まだ以前の機器のリースが残っている。

 今最新型を購入するつもりはない。」

歯科医院の目標は、利益を上げることです。

まだ残金が残っていれば当然の選択かもしれません。

ここで歯科器具メーカーの営業は、医院長との会話の中に

衛生士さんが休職することを聞きます。

この歯科医院では、衛生士さんは、手首を痛めて治療をすることが多く、

これまで多数の衛生士さんたちが休職や退職をされていることを聞いたのです。

衛生士が一人いないということは、経営上の目標の利益を上げることの課題になります。

メーカーの営業は、データを探し、ヒアリングをして回りました。

この医院のほかにも多くの衛生士さんたちが職業病とでもいうのか、

同じ痛みで休・退職をしている現状を知りました。

そして、その原因が、重たくてコードがあり、取り回しが不便な歯科器具で

繊細な治療を施しているのが理由であることを突き止めたのです。

ここで売り込もうとしていた歯科器具のメリット(軽くてコードレスなど)と、

利益を上げたい医院長の思惑が一致したのです。

衛生士さんの健康を大事にすることが経営上でも大切なことであるというインサイト。

こうして、歯科器具メーカーの営業は、売込みに成功したのです。

この事例のように、クライアントが気のつかない情報を与え、

考え方を変えさせる提案が「刺激的なインサイト」です。

 

刺激的なインサイト事例2 ゼロックス社コピー機販売の例

ゼロックス社が開発したのは、コストが安くメンテナンスが楽なカラーコピー機です。

まだ白黒コピーが全盛の学校への売込みです。

やはり、技術力は理解してもらえましたが、まだ白黒でよいという答えでした。

営業は考えました。オンライン授業ではカラーなのに、配布する資料は白黒でよいのか?

そこで営業は、色が生徒の学習効果に影響をする、というデータをとったのです。

学校側は、生徒の学習向上が目標のひとつですから、

カラー印刷が生徒の学習向上効果に良い、と気づくと購買行動を起こすことになるのでした。

 

引き寄せて一緒に考えてみましょう(動画の営業のケース)

わたくしは動画のプロではないので、逆にクライアント側の目線でみてみます。

提案の動画は、美しさやクオリティでの差やインパクトの差があることは理解できる。

それはクリエイターさんの腕の差でしょ。

動画は、一部の若者の媒体であって、やはり紙媒体の訴求力にはかなわない。

動画は、ホームページをしっかり作っておけば別にいらないのではないか。

怒らないでくださいよ。

あえて、クライアントのスケイプティック役を演じてみました。

さて、あなたは、わたしの上記のようなメンタルモデルを壊し、

新しいメンタルモデルをつくらせるために、どのような提案をし、

更には、わたしを使って購買意思決定チームを動かそうとしますか?

わたくしがクライアントだったら、こう動いて、こう思う、というイメージで書きます。

・売込みにきた動画クリエイターさんは、どういう人?

  ホームページを見にいきます。

  ポートフォリオ、これまでの事例、私はこういう人、想いって掲載あるか?

  動画に対するマーケティングの知見はその中に見つけられるか?

・クリエイターさんに会ってみけど、作品の内容は素晴らしかった。

 でもやっぱり紙媒体では?

  クライアントである私が売りたいもの、伝えたいものの理解は出来たのだろうか?

  紙媒体が有効だと思っている私の考えを変えさせるインサイトはさきほどあったか?

・クリエイターさんが教えてくれたインサイトは衝撃だった。動画活用にも納得した。

 しかし、これを関係者にどう伝えればよいのだろうか。

 関係者全員にはなかなか会えない。

 みんなに理解してもらうには、どうしたらよいだろうか?

考えられる対策としては、

モビライザーが関係者の合意がとりやすくする後ろ盾になるために、

たとえば、動画が有効であるということの理解、学習をしてもらうため、

ホームページでの情報を増やし、関連する情報のリンクをつけたEメールを

モビライザー経由で関係者全員に転送してもらい

コレクティブラーニングをしてもらうのはどうでしょうか?

余談ですが、ここまで書いていて、

超優秀なブロガーさんたちが伝授している

ブログの書き方と同じなのではないかな?

そう思っているところです。

初回のプレゼンから返事を待っているだけではもったいないです。

さて、あなたなら、どのように動きますか?

 

あとがき

この本を読もうと思ったのは、神田昌典氏が輸入してきたもので

且つ、ダニエル・ピンク氏が推薦していたからです。

久々に読み込むのに手こずった著書でした。

ましてや、これをどのようにお役に立ててもらえるかどうかを考えると

いつも以上に時間がかかってしまいました。

今回ご紹介した内容は、ほんの一部、イントロダクションにすぎません。

まだまだたくさんのことが書かれています。

ブロッカーへの対策はどうすればよいかなど、

ご興味がある方は、手に取ってみてください。

それでは、あなたの成功を祈願して終わります。

世界最先端8社の大戦略「デジタル×グリーン×エクイティ」の時代

著:田中道昭 日経BP(2021)

 AMAZONにリンク(目次等ご確認下さい) 

立教大学ビジネススクール教授の田中道昭先生の著書です。

企業戦略としてDX(デジタル・トランスフォーメーション)

世界最先端8社の事例を挙げながら、

「デジタル×グリーン×エクイティ」を中心に据え

サーキュラー・エコノミー(循環型経済)をグランドデザインとして

「人×地球環境主義」をパーパスに。

という主張の内容です。

では、いつも通り要点に絞り、わたくしが何を引きつけたかを最後に述べたいと思います。

世界最先端8社

ここで取り上げられている企業と要点は、

  • アマゾン 「カスタマーセントリック」
  • セールスフォース 「カスタマーサクセス」
  • マイクロソフト 「成長マインドセット」
  • ウォルマート 「企業文化を刷新」
  • ペトロン 「CXを徹底的にこだわる」
  • テスラ 「宇宙レベルの壮大さ×物理レベルの細やかさで地球を救済」
  • DBS銀行 「会社の芯までデジタル化」
  • アップル 「デジタル×グリーン×エクイティ」(解説なしのため筆者が追加)

「主義」の転換

まだ多くの企業が自社中心主義を抜け出せていない中、

日本の先端企業も顧客中心主義を掲げ進化をしようとしています。

顧客は利益の源泉であることは自明の理ですが、

著者の田中先生は、これからは

人間中心主義

であると述べられています。

ここでいう人間とは「顧客・従業員・取引先・地域社会」

のステークホルダーです。

この人間中心主義は、国が掲げた「Society5.0」が目指す世界であり

合致している方向です。

さらにこの先は、

カーボンニュートラルに代表される地球環境への取り組み

エクイティ(本来は公平・公正という意味ですが、

ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンを含めた表現になっています)を挙げ、

「デジタル×グリーン×エクイティ」からの人×地球環境主義を

パーパスの根底に据えた企業戦略の方向性の必要性を説いています。

グランドデザインの転換

企業中心主義では、

リニア・エコノミー(大量生産・大量消費・大量廃棄)

であるものを

3R(リデュース・リユース・リサイクル)にプラスして

資源投入量・消費量低減、ストック利用、そしてサービス化を持ち合わせた

サーキュラー・エコノミー(循環型経済)

への転換が必要であると述べています。

デジタルシフトに求められる「5つのシンカ」

上記の転換は、デジタルシフトによって成されるものであり、

デジタルシフトには、「5つのシンカ」があると説いています。

  1. 「本質」のシンカ
  2. 「CX」のシンカ
  3. 「データ分析」のシンカ
  4. 「つながる」シンカ
  5. 「経営スピード」のシンカ

 これらの「シンカ」については、本著書をお読みください。

引き付けたこと

わたくしの回りの企業でも、DXの号令が声高らかに叫ばれています。

しかし、内容を訊くと、DXとは自社内の業務改善をデジタル

と言っているような気がしてなりません。

DXは何のためなのか、もう一度問い直してはいかがでしょうか。

それから非デジタルネイティブが多い、

つまりモノづくりの日本企業において参考にするべき今回の事例は、

ウォルマートとペロトンです。

ウォルマートはアマゾンの台頭によって衰弱企業かと思われていましたが、

どっこいDXで凄い進化を成し遂げているのです。

古くは「クリック&モルタル」デビッド・S. ポトラック (著), テリー ピアース (著)(2000)

非リンク

を2000年に読んだときから感じていたのですが、

リアル×バーチャルのシームレスな融合がこれから求められる

と思っていました。

ウォルマートは、ご存じの通りリテール(店舗)No.1企業です。

この伝統的企業がDXを機に息を吹き返し、更に進化している事例は

日本のリアル店舗中心企業には参考になると思います。

また、ペロトンはフィットネスバイクのDXでイノベーションをした企業です。

売って終わりのフィットネスバイクをベースにSaaS企業になり

フィットネス業界のアップルとまで呼ばれています。

売り切りモデルが多い中、素晴らしいモデルだと思います。

出典:文春オンライン

そして、ソーシャル・イノベーション・エヴァンジェリストを自称する身として

顧客主義(→人間中心主義)への転換に、

企業市民という考えを持ち、地域社会との共存共栄

どのようなビジョンをもったDXを進めていくべきか

改めて考えさせられました。

田中道昭先生の著書は、非常にわかりやすい解説になっていますので

ぜひご興味のある方はご一読されることを希望します。



今回取り上げる本

未来を実装する テクノロジーで社会を変革する4つの原則

馬田 孝明 英治出版(2021)

この本は、「テクノロジーの社会実装の方法論」を提示しています。

ポイントは、

という『テクノロジーで社会を変えていこう』が主題です。

”今の日本に必要なのは、注目されがちな「テクノロジー」のイノベーションでなく、

むしろ「社会の変え方」のイノベーションではないか”

未来の理想「インパクト」を描き、その未来を作るヒントとして、

企業もソーシャルセクターの知見やツールを取り入れていこう

というのが他書に見ない新鮮なところです。

著者は、まず社会を変革する4つの原則と1つの前提を示し、

各章の解説を進めています。



社会の足元(とあえて呼ばせてもらいますが)の課題解決には、

NPOやNGO、市民団体が行政等パブリックやステークホルダーとの

折衝活動、政策提言を行っています。

その活動は、企業のパブリックへのロビー活動よりも長けているので

ソーシャルセクターが合意形成から社会への実装に至るまで活用しているツールや

手順などを企業が積極的に取り入れるべきである、と述べています。

ソーシャルセクターの方法論を学ぶことによって、

“ビジネスによって社会を変えるだけではなく、

社会を変えることによって新たなビジネスを生み出す”

可能性を説いています。

これは、企業‐NPO‐市民‐官‐学等のセクターの境界を融合した

ソーシャル・イノベーションを標榜する私にとって

心強い一冊となりました。

現在、当社が参加している武蔵村山市「中原元気プロジェクト」

企業にとっては、「場の提供」というまだ第一段階の<支援>の立場にあります。

その提供された「場」を活用して、NPOがパブリックと連携・協力を得ながら、

積極的に表面化していない市民独自の活動を掘り起こしネットワーク化を推進しています。

他のブログ記事でも課題提起をしていますが、

企業担当者にすれば、黙ってみているだけでは実利は入ってきません。

第二段階は、この活動の中に、「地域市民」として混じり地域の生の声を聴くことで

ビジネスの機会を見出し、実利を獲得しながら、地域に貢献できるはずです。

第三段階は、企業が地域市民として、すぐ近くの「当たり前にいる存在」になることです。

多様なステークホルダーとの合意形成、そして進むべきステップ、インパクトをソーシャルセクターのロジックモデル等を活用して共有していこうと、この本から学びました。

ロジックモデル

人口減少、超高齢社会、IT・AIのデジタル社会が伸長し

主役はサプライサイドからデマンドサイドに転換しています。

生き残り、ゴーイングコンサーンのためには、

新しい世界観、異なるセクターの境界が融合したモデル

最終的に社会変革(ソーシャル・イノベーション)を起こしていくもの

と考えてやみません。