第5回 エビデンスって何だよ!!

あなたは会議の時や上司や同僚から言われませんか?

「で、君、その発言のエビデンスは?」

「・・・」



 

エビデンス ・・・ 「根拠」「証拠」

 

マーケティングでいうところのデータ・ドリブン思考です。

データ・ドリブン思考は、確かに確率は高く、大きな失敗はしない

と言われています。

 

ただし、データに基づいた議論ばかりを繰り返していると

今あるビジネスをどうやって伸ばすかという、

殻から抜け出せなくなると言われています。

 

佐宗邦威氏

「4つの思考サイクルの違い」※として紹介しています。

『直感と論理をつなぐ思考法』ダイヤモンド社2019


4つの思考法は2軸からなるマトリックスになっている。

まず縦軸になっているのが「クリエイティビティ」だ。

「カイゼン思考」は一定のKPIを前提としながら、

それをどう高めるかを目的にしていた。

また、「戦略思考」が意図するのは、いかに市場シェアを広げて、

より多くの利益を上げるかである。

つまりどちらも、「既存の基準の範囲内で、パフォーマンスを

高めていく」点では共通している。

端的に言えば、これは知性優位の「1→∞」の世界だ。

他方、これとは対照的に、「デザイン思考」「ビジョン思考」では

感性優位の「0→∞」の創出が目指されていた。

(※筆者一部削除)


 


(中略)

次に横軸に注目しよう。こちらは「動機」をめぐる違いである。

「カイゼン思考」や「デザイン思考」を突き動かしているのは、

外的な問題・課題(イシュ―)だ。PDCAの過程で何か問題が起きれば、

それを評価(Check)し、改善(Action)することが求められるし

デザイン思考が共創型の問題解決フレームワークであることは、

すでに見たとおりだ。


 

このように4つのマトリックスにすると理解しやすいですよね。

ただ、どれが良い、どれが悪い、という話ではなくて

それぞれの仕事のステージ(求められ方)によって使い方が変わってくると

わたくしは思うのですが、冒頭述べましたように

最近は何でも「かんでもエビデンスは?」

これでは、閉塞していくわけです。

 

 

今回、わたくしが経営企画、事業企画或いは商品企画を担当されている

あなたに提言したいのは、

 

未来の“あるべき姿”を描くときは、エビデンスは糞くらえ!!

 

言葉は少々汚くなりましたが、データの上にデータを載せても

複雑で不確実な未来を描くことは出来ないと思うからです。

 

とはいえ、データに基づかない未来、妄想、想像のあるべき姿を述べるのは、

とても厳しいことだと、わたくし自身が身をもって知っています。

何度もくじけました。

 

事例として『ダイナブック構想』のアラン・ケイ氏の話をします。


「未来を予測する最善の方法は、未来を発明することだ」


登場初期のコンピューターは、でっかくて、一部の企業・研究所で使われていました。

コンピューターの使い手、使い道の定義を決めつけていたのでしょう。

その時代に、アラン・ケイ氏は、今でいう持ち歩きできるノートPC、

iPadで子供たちが遊ぶ絵を描いていたのです。

ひとりひとりがコンピューターを持って、遊んだりできる世界

『ダイナブック構想』です。

当時の人たちは、この話を鼻で笑ったことでしょう。

ところがご周知のとおり、今ではこの構想が当たり前の世界になり、

鼻で笑った大きいコンピューター屋さんたちはどうなったか説明するまでもありません。

 

 

話しを戻しまして、

先述の4つの思考法は使いどころ、使い道によって分けた方がよいということ、

それからあなたは、普段はデータを扱っていると思いますが

中期経営計画などを任されたら、どんとエビデンスから離れ、

これまで地道に集めた予兆情報を眺め、その深層的意味を考え、

“あるべき姿”を描くことを望みます。

 

 

次回第6回は、未来を左右する「分かれ道」です。

 

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